歴史的洋館で過ごす幻想の夜。小樽の洗練ブティックホテル取材
アン ワインド 小樽の重厚なエントランスドアを押し開けた瞬間、小樽運河の冷たい海風が遮られ、薪の爆ぜるかすかな音とビンテージウッドの香りが鼻腔をくすぐった。石造りの街並みが夕暮れの薄藍に沈む頃、この館だけは琥珀色の光に包まれ、まるで百年前の社交界のような熱を密やかに湛えている。
港町の歴史遺産を大胆に再構築したアン ワインド 小樽は、単なるノスタルジーの再現にとどまらない。かつて北のウォール街と称された時代の豪奢な空気をそのまま現代のデザイン感覚へ昇華させたこの空間には、感度の高い旅人を惹きつけてやまない独自の静謐さが漂っている。
昭和初期のモダニズムが蘇る――旧越中屋ホテルの面影とアール・デコ建築の美学

北海道小樽市色内。かつて貿易と金融で栄華を極めたこの一角に、1931年に建築家・白石栄二の手によって建てられたのが旧越中屋ホテルだ。北海道初の外国人専用ホテルとして誕生したこの建物は、幾度かの時代の波を乗り越え、アール・デコ建築の傑作として現在もその優美な姿を色濃く残している。
吹き抜けを見上げる。半円形に削り出されたアーチ窓、天井に施された幾何学的な漆喰レリーフ、そして柔らかな光を投げかけるステンドグラス。白石栄二が設計に込めた「異邦人を迎える格式」は、現代のUNWIND HOTEL & BAR 小樽の館内各所に今も鮮烈な陰影を落としている。ただ古いものを保存するのではなく、経年変化したコンクリートやタイルの質感をそのまま意匠として活かす。その計算されたリノベーションの手腕に、思わず息を呑む。
株式会社グローバルエージェンツが仕掛ける「再生」の流儀とLIVELY HOTELSの思想

この歴史的建造物に新たな命を吹き込んだのは、独自のカルチャー創出で日本の宿泊業界を牽引する株式会社グローバルエージェンツだ。代表の山﨑剛氏が率いるLIVELY HOTELSは、単なる寝床としての宿泊施設ではなく、旅人と街、人と人が自然に交差する「ソーシャルホテル」を一貫して追求してきた。
彼らが手がけるブティックホテルは、画一的なラグジュアリーホテルとも旧態依然とした観光旅館とも決定的に異なる。山﨑剛氏が目指したのは、街の文脈(コンテクスト)を丁寧に掬い上げ、現代の旅人の感性と接続させること。歴史的な威厳に敬意を払いながら、洗練されたバー文化やコンテンポラリーなインテリアを融合させた結果、館内には心地よい緊張感と肩の力が抜けるようなリラックス感が共存している。
揺らめく炎と美酒の調和――「Bar Ignis」で味わう幻想的な黄昏時

夕刻、ロビー上階のメザニン(中2階)へと階段を上がる。そこにあるのが、アンワインドの代名詞とも言えるバーラウンジ「Bar Ignis」だ。中央で静かに燃える本物の暖炉、薄暗い空間に浮かび上がるアンティーク調のボトル群、そして選び抜かれたレコードから流れるアナログな音色が旅人を包み込む。
宿泊客には夕暮れ時にフリーワインが振る舞われる。グラスを傾けながら、揺らめく暖炉の火を見つめる。誰かと語り合う人もいれば、ひとり読書に耽る人もいる。北海道産のクラフトジンやウイスキーをベースにしたオリジナルカクテルは、小樽の冷涼な夜に深く染み渡る味わいだ。観光地の喧騒から完全に切り離されたこのサードプレイスこそ、大人の旅人がこの宿を選ぶ最大の理由だろう。
荘厳なステンドグラスの下で――限定アフタヌーンティーと朝食のハイティー体験
旧越中屋ホテル時代のダンスホールを改装したレストラン「The Ball」。見上げるほど高い天井と、幻想的に輝くオリジナルステンドグラスが空間を支配している。ここで体験できる食のプレゼンテーションは、記憶に刻まれる鮮烈さを持つ。
宿泊客の朝を彩るのは、英国の伝統を取り入れたハイティースタイルの朝食だ。優雅な3段スタンドには、北海道の旬の食材を用いた温かいスープや自家製スコーン、地元野菜のセイボリーが美しく並ぶ。さらに、日中のティータイムに提供される限定アフタヌーンティーは、季節の果実とパティシエ特製のスイーツが並ぶ贅沢な仕立て。空間の重厚さと繊細な料理のコントラストが、訪れる者の五感を静かに刺激する。
宿泊者が明かす賢い予約の裏技――一休.comとBooking.comの比較から見えた最適解
話題沸騰のブティックホテルゆえに、希望の部屋を押さえるには戦略が要る。取材を通じて見えてきた、予約サイトごとの使い分けと知られざる裏技を整理したい。
国内トラベラーであれば、まずチェックすべきは一休.comだ。ポイント即時利用による実質割引や、ラウンジ利用特典付きのプレミアムプランが定期的に投入される。一方、直前予約やインバウンド向けのキャンセル枠を拾うならBooking.comの追跡が有効だ。特に客室タイプ「ロフトルーム」や「テラススイート」などの人気カテゴリーは早期に埋まりやすいが、キャンセル料発生直前のタイミングでBooking.comや一休.comに不意に空室が戻ることがある。
さらに、公式サイトの会員プログラムと連動させたベストレート保証も見逃せない。平日の閑散期を狙って連泊予約を入れ、バーでの特別テイスティング特典を引き出す――これこそが、滞在価値を極限まで高める旅慣れた人間のスマートな選択だ。
運河の街で特別な記憶を刻む――現代の旅人に選ばれる唯一無二の滞在価値
小樽の魅力は、運河沿いの散策やガラス細工といった定番の観光スポットだけではない。歴史を纏った石造りの街並みに身を浸し、時の流れをゆっくりと味わうことにこそ本質がある。
UNWIND HOTEL & BAR 小樽が提供しているのは、単なる宿泊機能ではなく、「小樽の歴史の続きに泊まる」という知的な没入体験だ。アール・デコの美しい意匠に触れ、暖炉の火を眺め、北の味覚に舌鼓を打つ。チェックアウトを終えて再び街へ踏み出したとき、小樽の景色が滞在前とはまったく違って見えているはずだ。 (出典: アン ワインド 小樽(Yahoo!ニュース))