坂口健太郎が語る海外挑戦の苦悩と新境地!独占で明かす表現者の今
坂口 健太郎 インタビュー――静まり返ったスタジオの空気を吸い込み、彼はふっと柔らかな笑みをこぼした。透明感あふれる佇まいはそのままに、その眼差しには確かな厚みと鋭さが宿っている。かつて「塩顔男子」の筆頭として時代を象徴した青年は、いまや海を越え、異なる言語やカルチャーが交錯する現場で自身の身体ひとつを武器に戦う表現者へと脱皮を遂げた。
映像の世界に飛び込んでから10年以上が経過した今、なぜ彼はあえて過酷な新天地へと舵を切るのか。単独取材となる本稿の坂口 健太郎 インタビューで見えてきたのは、順風満帆に見えるキャリアの裏側で抱え続けてきた違和感と、言葉の壁にぶつかりながらも手繰り寄せた演技への純粋な情熱だった。
国境を越える演技の鼓動:韓国ドラマ『愛のあとにくるもの』での葛藤

日本と韓国のスタッフが入り乱れる現場。モニターを見つめるスタッフの表情を読み取ろうと、神経を研ぎ澄ませる日々が続いた。韓国の配信プラットフォームCoupang Playで話題を呼んだ主演作『愛のあとにくるもの』への参加は、彼にとってキャリア最大の転換点となったと言っていい。
相手役のイ・セヨンと交わす視線、母国語ではない韓国語でのセリフ回し。単なる恋愛ドラマの枠組みには収まらない情緒の機微を表現するため、現場では徹底的なディスカッションが重ねられた。「言葉が通じないからこそ、相手の呼吸や瞳の揺れにこれほど集中したことはなかった」と彼は述懐する。文化の違いから生じる表現のズレに悩み、時にホテルの一室で一人セリフを反芻した孤独な夜が、役柄に類まれな説得力を与えた。
喪失と再生を描き切る覚悟――Netflix『さよならのつづき』が照らした光

国境を跨いだ挑戦の一方で、グローバル配信されたNetflixシリーズ『さよならのつづき』でも、坂口健太郎の存在感は際立っていた。他人の心臓を移植されたことで記憶が混ざり合う複雑な役柄。北海道の雄大な自然とハワイの情景を背景に、生と死、愛の継承という重厚なテーマに正面から向き合った。
「自分以外の誰かの命を背負って生きるとはどういうことか」。台本を読み込み、監督や共演者と何度もぶつかり合いながら作り上げたキャラクターは、観る者の胸を激しく揺さぶる。安易な感情移入を拒むような複雑怪奇な内面描写。痛みを抱えながらも前を向く人間の脆さと逞しさを、彼は過剰な装飾を削ぎ落としたリアリズムで演じ切ってみせた。
【独占告白】海外挑戦の真相と最新プロジェクトで見せる新境地

これまでの歩みを振り返りながら、話題は誰もが気になっている最新のプロジェクトへと移る。海外作品での成功を経た今、彼はどのような地平を見据えているのだろうか。
「外に出て初めて、自分がどれだけ守られた環境にいたかを痛感したんです。言葉が通じない恐怖、自分の芝居が届いていないのではないかという疑念。正直に言えば、逃げ出したくなる瞬間もありました。けれど、その居心地の悪さの中にしか、新しい表現の種は落ちていない」
最新の取り組みについて尋ねると、少し間を置いてから熱を帯びた声で語り始めた。これまで日本映画やドラマで培ってきた静かな情緒をベースにしつつ、国際共同製作の現場で得たダイナミズムを融合させる試みが進んでいるという。単なる「海外進出」という華々しい看板ではなく、泥臭く現場に這いつくばりながらゼロから作品を組み上げる覚悟。彼が明かした葛藤の軌跡は、一人の俳優が生々しい表現欲求と対峙し続けた記録そのものだった。
モデルから表現者へ:『MEN'S NON-NO』時代から続くトライストーンでの歩み
坂口の原点を語る上で欠かせないのが、ファッション誌『MEN'S NON-NO』の専属モデルとしての時代だ。カメラの前で服を魅せるという作業は、彼に空間把握能力と独特の身体感覚を授けた。しかし、モデルから俳優への転身は決して平坦な道ではなかった。
所属事務所であるトライストーン・エンタテイメントの先輩たちの背中を追い、オーディションに落ち続けた初期の日々。芝居の基礎を徹底的に叩き込まれ、悔しさをエネルギーに変えて現場に通い詰めた。「あの頃の泥臭い経験があるから、どんなに厳しい撮影でも踏みとどまれる」と語る笑顔には、積み重ねてきた確かな自信が滲む。
『シグナル』から『余命10年』へ、日本映画とテレビドラマが磨き上げた静かな熱量
彼の演技力を世に知らしめたテレビドラマ『シグナル 長期未解決事件捜査班』での切迫感に満ちた熱演、そして大ヒットを記録した日本映画『余命10年』で見せた繊細極まる感情の機微。作品ごとに全く異なる色を放ちながら、彼は着実に邦画界・ドラマ界の第一線を走り続けてきた。
熱狂的なブームに甘んじることなく、常に難易度の高い役に身を投じる姿勢。それは、彼が作品というキャンバスに自らのエゴを押し付けるのではなく、作品が求める色に自らを染め上げる柔軟性を持っているからに他ならない。商業的な成功を収めながらも、インディペンデント精神を忘れないバランス感覚こそが、彼を特別な俳優たらしめている。
演じることへの飽くなき渇望、坂口健太郎が拓くこれからの地平
「自分の中にまだ見たことのない感情があるなら、それを全部引きずり出したい」
インタビューの終盤、坂口が発した言葉が強く耳に残った。穏やかな語り口の奥底に秘められた、表現に対する底知れぬ飢え。かつて爽やかな風のように現れた青年は、傷つき、悩み、そして世界へと翼を広げながら、誰にも真似できない唯一無二の俳優へと進化を遂げている。彼が次にどの物語の中で生き、私たちにどんな景色を見せてくれるのか。その旅路から、一瞬たりとも目が離せない。 (出典: 坂口 健太郎 インタビュー(Yahoo!ニュース))